2023年度公立高校入試過去問解説【北海道・国語・大問2】
テーマ:論説文
問題文
次の文章を読んで、問いに答えなさい。
問1
二重線1,2の読みを書きなさい。
問2
傍線1「『こと』には表情があると表現してもよいと思います」とありますが、この記述の仕方に関する説明として最も適当なものを、ア~エから選びなさい。
ア:「『こと』には表情がある」と遠回しに述べることで、筆者の伝えたいことを読み手に押し付けないように配慮している。
イ:「『こと』には表情がある」と比喩的に述べることで、筆者が伝えたいことを読み手にイメージしやすくしている。
ウ:「表現してもよいと思います」と断定的に述べることで、筆者の考えの正しさを証明している。
エ:「表現してもよいと思います」と控えめに述べることで、たとえを用いて説明することへのためらいを表している。
問3
傍線2「その表情や意味である」とありますが、「表情」や「意味」を表している文中の語として適当なものを、ア~オから全て選びなさい。
ア:記憶 イ:恐怖 ウ:材質 エ:物体 オ:感覚
問4
傍線3「一匹の猛犬が私に襲いかかってくるのとき、~目の前の犬それ自体が恐ろしいのです」とありますが、筆者がこのような例を示した理由を次のようにまとめるとき、①②に当てはまる表現を書きなさい。ただし、①は文中から三十一字で抜き出し、最初と最後の五字をそれぞれ書くこと。また、②は文中の言葉を用いて、二十字程度で書くこと。
問5
傍線4「『こと』の世界を、それぞれの視点に縛られない三次元空間のなかに置きなおして『もの』として説明する」について、次の(1)(2)に答えなさい。
(1)傍線4の例として適当なものを、ア~オから全て選びなさい。
ア:雨が降る前に現れるいわし雲の名前の由来を、いわしの群れに見えるからだと説明する。
イ:ミネラルを多く含む水は、人によって好みが分かれると説明する。
ウ:自分が好きな花火の色彩について、燃焼する物質に含まれている銅の量で説明する。
エ:おいしいアップルパイを作るコツは、愛情を込めることだと説明する。
オ:毎年冬に祖母が作ってくれた思い出のミートパイのおいしさの理由を、成分表で説明する。
(2)傍線4とほぼ同じことを表している部分を、次に示す【資料】から二十字で書き抜きなさい。
【資料】
正常な風景が見えているときは、物から光波が眼に入り、神経や脳は正常で(視線上で)透明である。このとき光波がどのような動きをしているのかを調べるのが物理学であり、脳や神経が分子レベルでどうなっているかを調べるのが生理学なのである。つまり、例えば向こうに富士山が見えているという状況を、富士山から私の脳に至るまで物理学的、生理学的に描くのである。この同じ状況を日常語で描けば、私はここに立って東の方に眼を開いており遠くに富士山が見える、ということになる。だからこの日常描写と科学的描写は共に、一にして「同じ状況」の二通りの描写なのである。換言すれば日常描写に科学的描写が「重ね描き」されるのである。だから、原子集団としての「物」と、色あり匂いある「知覚像」とが実は一にして「同じもの」であったように、日常的に描写される風景と、科学的に描写される光波や脳細胞などは実は一にして「同じもの」なのである。
問6
本文で筆者が述べている「こと」と「もの」の関係を、自分自身の経験を例にして説明しなさい。ただし、文中にある「『こと』と『もの』」の二つの言葉を用いて書くこと。
解答・解説
問1
1:ひた(る)
2:ともな(う)
問2
イ
消去法で解くと
ア:遠回しな表現は「表現してもよいと思います」の部分
ウ:断定的ではない。
エ:ためらいは表していない。
問3
ア、イ、オ
ウとエは『もの』の範疇。
問4
①「意識の内~わりがない」
②(例)事柄そのものと私の意識の内面はどこまでも一つ
傍線3の直前の段落参照。
問5
(1)ウ、オ
『こと』の正解を『もの』で表現している選択肢を選ぶ。
(2)日常描写に科学的描写が「重ね描き」される
『こと』=「もの」で画一的なものである。という筆者の主張と同じ部分で、二十字で書き抜ける部分を探す。
問6
回答略
『こと』が精神的なもの、『もの』が物理的なものであることを記述し、その両方があって世界が成り立つということが書かれていればよい。