課題図書「海を見た日」の読書感想文の実例付き!
カギは最終段落にあり!読書感想文の書き方講座③
前回は、「エピソードの重要性」をお伝えしました。
読書感想文では中心となる内容についてエピソードをつけると、厚みが増します。
(※前回の内容を確認したい方はこちらをご覧ください。)
最終回の本記事では、感想文を締めくくる最終段落の作り方をお伝えします。
これまでの記事でも読書感想文の書き方についてお話してきましたが、最終段落には負けじと劣らない重要性があるんです。
文章全体を通して最も伝えたいことを最終段落でしっかり表現することで、感想文全体の印象も際立たせることができます。
第68回青少年読書感想文全国コンクールの中学生の部の課題図書を題材とした感想文例も掲載しておりますので
ぜひ参考にしてください!
読書感想文の書き方講座は全3講座
第68回青少年読書感想文全国コンクールの中学生の部の課題図書を題材にし、実例付きで読書感想文の書き方を解説しています。
クリックすると該当の講座をご覧になれます。
講座1の課題図書:江戸のジャーナリスト葛飾北斎
講座2の課題図書:セカイを科学せよ!
講座3の課題図書:海を見た日
読書感想文の書き方のポイント
文章の締めくくりを工夫する
「ピーク・エンドの法則」を聞いたことはありますか。これは、人が何かを体験したときに最も印象に残るのは一番盛り上がる部分(ピーク)と一番最後の部分(エンド)だという法則です。
友達と人気のスイーツを食べにいく時を想像してみてください。
美味しいと話題のスイーツショップ。いざお店に着いたものの超人気店のため長い行列に並ばなくてはなりません。外は蒸し暑く、日差しを浴びながら長時間並ぶのはとても苦痛です。
しかし、並んだ甲斐もあってなんとかおいしいスイーツに辿り着くことができました。スイーツは評判になっているだけあってとてもおいしいものでした。友達との会話も弾みます。では、店を後にしたあと頭に残っているのは何でしょうか。それは、きっとさっき食べたスイーツの甘い余韻か、盛り上がった会話の内容でしょう。暑い中、長時間並んでいた時のことなど忘れてしまっているのです。
読書感想文にも同じことが言えます。
読書感想文において最も重要な内容は自分の変化したことだとお伝えしてきました。本を読み、自分の中で何が変化したのか、どのように変化したのかという内容を書くことはとても重要です。一方で、文章の締めくくりには同じくらいの重要性があります。第1段落から最終段落まで同じテンションで文章を続けてしまうと、文章全体の印象も残らなくなってしまうからです。
したがって文章の終わり方に工夫を凝らすことは非常に重要になってきます。
では感想文はどのように終わらせるのと良いのでしょうか。
文章の終わらせ方は大きく分けて2種類あります。
- 直接型 読書を通し学んだことを踏まえ、今後の決意や抱負を直接的に表現する終わらせ方
- 間接型 読書を通して変化したことを、情景描写や人物描写で間接的に表現する終わらせ方
直接型は最も使いやすい締めくくり方です。読書体験を通じた自分の変化を踏まえて、「これからは~していきたい」と結論づけることで非常にまとまりのある構成にすることができます。
間接型は少し難易度の高い締めくくり方です。直接主張を伝える方法ではありませんが、読み手の想像力に任せ、余韻のある上品な文章にできます。
両者に共通するのは本を読んで変化が起こった結果、「これからは~していきたい」という自身の決意を表現している点です。
読書感想文では、自分の考え方が変化した後、これから自分はどう行動していくかという内容が結論となります。本を読んで思考に変化が起こったので、次に行動に変化が起こるというつながりにすると自然だからです。
最終段落は感想文の中でも特に時間をかけてじっくり作っていくことをおすすめします。
「海を見た日」読書感想文の実例を読んでみよう
ではここからは実際に本を読んで書かれた感想文を読んでみましょう。
題材は、第68回青少年読書感想文コンクールの課題図書である「海を見た日」です。
海を見た日
M・G・ヘネシー (著), 杉田七重 (翻訳)
【感想文例】「海を見た日」を読んで
「海を見た日」を読んで
〇〇県立□□中学校 △年
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家に帰ってくる瞬間はいつでもホッとする。また、迎え入れてくれる家族がいると安心する。時々喧嘩になったりうっとうしく思ってしまうこともあるが、支えてくれる家族の存在なしには今まで生きてこれなかったはずだ。だからこそ、この作品から浮き彫りになったのは、アメリカ国内で生きる身寄りのない子どもが直面している厳しい現実だった。
里親であるミセス・Kの家に集まった5人の里子たちはそれぞれ問題を抱えていた。ガンと診断された母が入院して離れ離れになった事実に耐えきれず、周りの人に心を閉ざしてしまったクエンティン、早くに亡くなった母に変わり一人で育ててくれた父が強制送還されてしまったという現実を受け止めることが出来ず、自分が国際スパイだという妄想の世界に入り込んでしまったヴィク、英語が分からないため言葉を発しようとしないマーラ、幼くして母を亡くし、3人の面倒を見ることを一任しているが、彼らが抱える問題とは向き合おうとせず、自分一人の将来のことばかり考えているナヴェイア、そして夫に先立たれ、里子を受け入れているが、ほとんどその世話をしない里親のミセス・K。5人は同じ屋根の下に暮らしてはいたが、常に違う方向を向いているように見えた。
私がナヴェイアの立場だったら、3人の世話をすることに嫌気がさしてしまい、冷たくあたってしまうかもしれない。自分の将来のことで精一杯なのに、ただでさえ言う事を聞かず、話も分からない子の面倒をみなければいけないのだから。だからこそ、ナヴェイアを尊敬する気持ちと、彼女の負担を心配する気持ちを抱いた。
そんな中、入院している母に会うため病院に行きたいというクエンティンの願いを叶えるため、遠くまで冒険することになる。自分の母に会いたいと言って母のいる病院へ行きたいと言ったクエンティンを連れて行ってあげようとするヴィク、学校の課題をやる日と決めていたのに、一日を使って冒険に付き添うことにして、さらにヴィクたちと観覧車に乗ることを許したナヴェイア、ポニーに乗りたいと言ったマーラに、母から貰った貴重な5ドルを渡したクエンティン、しぶしぶ決めた判断だったかもしれないが、そこにはだれかのことを思って行動する姿があった。
彼らにとってビーチで海を見たことは2つの意味を持っていると思った。1つは「家族の思い出」だ。5人にとってそれは初めて海を見る体験だった。家族でビーチに訪れるという家族の思い出家族をもう一つは「家族の完成」だ。ビーチに着いた時、ヴィクは自分たちのことを「漂流者」と言った。自分たちが海に投げ出されるかのように世間に投げ出されたと言う意味だったが、最後にビーチに海を見たビーチでは5人の家族がいる家に辿り着いたからだ。5人が海を見たこの日ビーチという島に着地することができた。
クエンティンは母に会うことはできなかった、しかし、彼はこの日、一番近くにいる新しい家族に出会うことができた。印象的だったのは、クエンティンが母を思い出させる唯一の存在であった大切な目覚まし時計を手放したことだ。過去との決別と新しい家族の誕生を強く印象づけた。どんな問題を抱えていたとしても、前に進んでいくしかないのだ。自分の苦しみは乗り越えられずとも他人の苦しみに寄り添おうとしたときに5人は本当の「家族」になることができたのだと思う。
この作品に登場する人物はフィクションだが、アメリカ国内の里子たちの実態を描いている点でノンフィクションだ。では私に出来ることはなんだろうか。それは、自分の近くにいる人をいっそう大切にすることだと思う。なぜなら、「家族」とは、自分のことを二の次においてでも相手のことを気遣いあえる関係なのだから。誰も一人になることのない社会、全ての人が「家族」の一員でいられるような社会、そんな社会をつくっていくための一歩を私は踏み出す。
「海を見た日」読書感想文の実例解説
課題図書の「海を見た日」は、アメリカ国内で身寄りのない子どもたちが直面している現状を小説的に描いた作品でした。感想文例は、バラバラだった4人の里子と里親が一つの家族になるという側面にフォーカスして書かれていました。
自分の苦悩のことばかり考えていた4人の里子たちが、同じように辛い思いを背負った他の里子たちことを少しずつ思いやっていった結果、家族といえる存在になった。そんな家族の誕生を「海を見た日」が象徴しているんだと解釈したわけです。
ではこの文章を締めくくるにはどうすればよいでしょうか。
感想文例の最終段落に注目してみましょう。
最終段落では打って変わって「この現状を踏まえて自分には何ができるだろうか」という方向に意見を向かわせています。自分の決意を表明することで締めくくっています。
締めくくりとして使われているのは直接型ですね。
そして自分ができることとして、自分の近くにいる人を大切にすることで家族の輪を広げていくことだと結論づけています。
読書感想文の書き方まとめ
最終段落が感想文の印象を大きく左右する重要なパートであることは理解できましたか。
文章の締めくくり方は人それぞれの特徴が出るので、様々な感想文を読んでその締めくくり方に注目してみると参考になると思います。
最後までご覧いただきありがとうございました!
全部で3つのポイントをお伝えしましたが、読書感想文の書き方は分かりましたか?
読書感想文を書くことは、みなさんの読書体験にさらなる価値を与えてくれる重要な作業です。
なぜなら、本を読んで学んだこと、自分が成長したことを記録として残せるからです。
自分の読書感想文を読み返せば、いつでもその時の感動した自分に出会うことができます。
夏休みの宿題にとどまらず、普段の読書でも感想文を書いてみると思いがけない発見があるかもしれませんよ。
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