【徹底解説】算数と数学の違い
小学生の教科書には「楽しい算数」。中学生の教科書には「数学」。
誰もが小学校を卒業し、中学生になると「どうして教科書に書かれている名前が変わっているの?」と一度は疑問に思ったことがあるでしょう。
算数と数学は何が違うのか。
それは、一言で言うならば「生活に関係しているかどうか」です。
では、生活に関係しているかどうかを小学生と中学生の学習に分けて説明していきます。
文部科学省 学習指導要領「生きる力」
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/index.htm
算数について
始めに小学生の算数についてです。
小学一年生の算数は10までの数、たし算、ひき算…これらは動物のカードを動かしたり、両手を使って計算したり、数ブロックを使って考えを深めていきます。具体物を動かし、イメージを持たせながら学習を行なって行くことが低学年での最たる特徴です。
小学二年生の算数でも同様具体物を動かし、イメージを持たせます。かけ算や身の回りにある形などについて学習を深めていきます。
まだまだ学習では具体物が中心です。まずは手を動かして遊んだり、教室にさりげなく学習に関係するものが置いてあります。
休み時間に触らせるなどして、無意識のうちに手を動かして遊んでいます。体験や経験を積ませることでイメージを持ちやすくなるのです。
そして、学年が上がるにつれて具体物が半具体物になります。
たし算やひき算の数が大きくなり、ひっ算で計算の答えを求めたり、大きな数では億や兆といった数も扱います。
図形も四角や三角の平面から、三角柱や四角柱などの立体になり、立体の辺や面など、粘土や竹ひごを用いていきます。
このように、思考が段々と複雑になっていきます。
思考が複雑になり、具体物から半具体物へと変化をしていきますが、 日常的な事象から脱することなく、問題が提示され、問題解決へと思考を巡らせることになります。
また既習(習っている事柄)の事項から新たな問いを生み出していき、既習の事項を用いて考えを深化させていくことも小学生の算数の特徴になります。
数学について
次に中学生の算数についてです。
中学生になると、まず始めに正負の数の学習から始まります。日常の生活の中で「負の数から歩の数を引く」といったことを行うことがあるでしょうか。
わかりやすく例をあげるならば、「借金(負の数)から借金(負の数)を引くと、借金がなくなる。」これはイメージできることですが、日常的にそう多くあることではありません。
また関数や平方根などは明らかに小学生の算数とは異なっています。
平方根では、2の2乗は4です。3の2乗は9です。ここで、2乗して、5や6や7や8になる数は今までの学習を使って求めることはできません。ここで、2乗して5になる数を√5とする、2乗して6になる数を√6とする、といったように、 数学上で考えを深めて行くため、√という記号を用いると仮定して学習を進めるのです。
また算数では、円周率を3.14としますが、数学ではΠとします。日常生活で3.14159265・・・と使うこともまずありません。
その他にも例をあげるとキリがありません。教科書で習ったから我々大人は、理解をすることができるのですが、子供が一人で考えを深めていったところで、√やΠといった概念はでてこないでしょう。
あくまで学習を進めて行くために必要で、便宜上、記号や文字を仮定しているのです。
算数と数学の違い
小学生での学習と中学生での学習を比べてみると、明らかに学習の進め方や考え方の質が異なっています。
そして先に述べた「生活に関係しているかどうか」の答えがでています。
小学生は生活に直結している学習内容が多く、中学生は生活に直結している学習内容が少なくなっています。
「高学年になってくると算数がちょっと・・・」や、「中学生になって数学がもうさっぱり!」という声がでてくることが非常に多いです。
受験シーズンでは「数学の点数が伸びません・・・」と悩む生徒も多いです。
それは日常的な事象とは少し離れてしまっているもののイメージを持つことができていないことが原因です。
いったん日常とは切り離し、原理原則として作られているものの理解を深めることが大切です。
どうして√を使うのか、どうしてΠを使うのか。日常にはないけど、どうして関数を勉強するのか。
それは数学という学問を深めて行くために必要な過程だからです。
まとめ
算数と数学は言葉こそ違うものの本質は同じです。生活に関係しているかどうかで区別されることはありますが、 学問を深めるといった究極の目的は同じです。
算数や数学は「嫌い!」「難しい!」「楽しくない!」と言われがちですが、積み重ねていくとなかなか面白い学問です。
ましてや今の世の中、数学の世界なしでは回りません。
ぜひ一つ一つの積み重ねを大切にして、楽しみながら学習を進めていってほしいと思います。
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