不注意優勢型の子の勉強方法について
今や10人に1人いると言われている発達障害、一人一人の症状や、程度も様々です。ADHDも発達障害の一つで、脳の機能不全によって起こると言われています。
ADHDには不注意優勢型と、多動・衝動性優勢型と混合型と3つに分けられています。このどれが強くあらわれるかは個人差がありますが自己のコントロールがうまくきかない状態であることは同じです。
不注意優勢型の子はこまかいことに注意力が働かず、集中力もとぎれがちで、物事を順序だてて進めていくことができません。安易に注意が逸らされてしましいます。忘れ物や失くし物が多くなったりします。
多動・衝動性優勢型の子は静かにしていなくてはならない所で体を動かし、よくしゃべります。順番待ちができなかったり、新しいものを目にするとすぐに手をだしってしまったりします。またその子によっても個人差がありますが、得意な教科と苦手な教科の差が激しいことが多いです。
しかしADHDの特徴でよいことも、もちろんあります。好きなことには集中出来たり、新しいことにどんどん興味を向けチャレンジできたり、フットワークが軽かったり。その子が興味のあること、好きなことをに持続的に取り組み伸ばすことが大事になってきます。
今回は周りの人から気づかれにくい不注意優勢型の子の勉強方法についてお話ししたいと思います。
不注意優勢型の子の特徴
不注意優勢型の子は走り回ったり、友達との間でもトラブルを起こすことも少なく、聞き分けもよいので周りの人に発達障害があると言っても驚かれる子も多いでしょう。ですが小学校に入学すると、板書が苦手だったり、ケアレスミスが多かったりと学習面での遅れが見られるようになります。
またADHDは、他の発達障害LD(学習障害)や、ASD(自閉症スペクトラム)を合併していることが多く、両方の診断を受けている子もたくさんいます。また注意力の欠如とあいまって学力が低下することが多々あります。学校の授業についていけなくなる子も多いのではないでしょうか。
本人も真面目にやっているのに授業で習ったことがなかなか頭に入ってこなかったり、今覚えたばかりのことをすぐに忘れてしまったり、どんどん自分はダメな子だと思い込むようになってしまいます。 しかしADHDがある子でも、環境を整えその子に合った勉強方法をすれば必ず伸びます。
勉強の環境を整えましょう
まずは勉強する環境を整えることが大事です。集中しやすい環境を作りましょう。勉強をするのは、自分の部屋でもリビングでもよいのですが、視界に入るところに余計なものを置かないようにしましょう。テレビや音楽は消しましょう。兄弟がいる子は同じ時間に勉強するようにし、できれば別々の部屋でするとよいでしょう。
しかし誰もそばにいないと、他のことに注意をひかれてしまう可能性もあるのでそっとそばで見守りましょう。またADHDの子は集中力が長く続かないので、1つの勉強に15分ぐらいで区切りをつけ、5分ぐらい休憩することも大事です。
指示を出すときは、早くやろう、ちゃんとして、など抽象的な言い方は避けましょう。何時までにここまでやろう、しっかり前を見て座ろうね、などの具体的な指示を出してあげましょう。
その子その子に合わせた指導を
そしていざ勉強ですが、まずは本人が楽にできることから始めましょう。出来た時はとにかく褒めます。これはどんな子にも言えることですが、やればできるんだ!という自信がつくことがまずは大事になります。とは言え簡単な問題ばかりやっていては、前に進みませんので少しづつスモールステップで難しい問題にチャレンジしていきましょう。
ここで大事なことは、難しい問題にチャレンジする時は無理に本人に考えさせず、答えを教えてしまっても大丈夫です。それを何回か繰り返し、本人が少しできるようになれば、答えを本人に考えさせるようにします。お子さんが悩んでしまう時は無理に一人で考えさせず、答えを教えましょう。力が伸びるのに合わせて、少しづつアシストを減らしていきます。
ここでもう一つ大事なことは、間違ったことやできなかったことを責めないことです。昨日できたことが体調により今日できないこともあります。不調な時は無理にやらせようとせず、時間を置いてからチャレンジしてみましょう。とにかく根気よく勉強することが大事です。
例えば漢字の練習でしたら、今日覚えた漢字は2~3日後にもう一度復習します。その2~3日後にもう一度復習し、その後テストをしてみます。その繰り返しで覚えることができます。一番大事なのはその子その子に応じたカリキュラムで進めることです。
得意な科目は学校でやっているところに合わせて勉強し、苦手な科目はわかるようになるまで、繰り返し勉強します。特に算数は理解しないまま先に進んでも、次で必ずつまずいてしまうからです。つまずいたところを、何度も復習しながら少しづつステップアップしていきましょう。
ADHDのある子は、スモールステップで成功体験を積み重ね、根気よくその子その子にあった個別指導をしていくことががとても大事なのです。
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