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発達障害を持つお子様の学習指導のコツ

こんにちは。私は学生時代に心理学を専攻し発達障害を持つお子様にも家庭教師として多数の指導経験があります。

現在も公認心理師として福祉施設で多くの発達障害の方々と関わっています。

 発達障害を持つお子様へ学習指導をするときのコツとして主に以下の三つのポイントを守っていただければ、学習の効率をより高めながら指導していけると思います。

  1. 環境調整を行う 
  2. 報酬を素早くフィードバックする
  3. 子供たちの自己効力感を育てる 

順番に解説していきます。 

目次

①環境調整を行う

発達障害を持つお子様の行動形成において最も有効な方法は行動療法と呼ばれている手法になります。

行動療法とはきっかけ・行動・報酬という三つの要素から行動にアプローチする心理学の手法のことです。

そして環境調整を行うことはこのきっかけ・行動・報酬という三つの要素におけるきっかけを調整する部分になります。
発達障害には症状がさまざまなものがありますが、いずれの発達障害のお子様に言えることとして、目の前の新しい刺激的なものに意識が引きつけられやすいということです。

まずは学習環境を確認してみましょう。
机の上におもちゃなど学習に関係のない注意が散るようなものが置いてはないでしょうか。
あるいは人の話し声やテレビの音など注意を惹きつけるような環境ではありませんか。
騒音がある場合も子供たちは容易に集中力がそがれてしまいますので注意しましょう。

一方あまりに遊びがない環境というのも子供達にとって学習をするということが苦痛なことであるというふうに捉えさせてしまう可能性もあります。
紙に向かって勉強するということだけが学習であるというふうに捉えずに教師とともに学習についての価値観や話し合ったり、調べ学習をしたりして教科書にない深い知識を身につけるための学習をすることも学習ととらえ、生徒の知的好奇心を育てる学習環境を、教師は提供する必要があると言えます。

②報酬を素早くフィードバックする

上述したように発達障害の持つお子様は目に見える報酬にすぐに反応してしまうという傾向があります。

それを逆手に取って、発達障害のお子様が前向きに学習を行っていくためには学習をするという結果に対して素早く良いフィードバックが行われる環境を作ることで学習のモチベーションを上げることができます。
学習における報酬とは自分は問題に正解できたという体験が特に有効になります。

この体験を増やすにはタブレットなど電子機器を用いた学習が有効です。

例えば、紙で問題を解いた場合ですとその問題が正解か不正解かが丸つけをするまで分かりません。
子供達にとって素早い報酬が無いので学習をするというモチベーションに繋がりにくいです。

一方、タブレットで学習を行うと回答が正解なのか不正解なのかということがその場で分かりやすくなります。
これが子供達の学習意欲につながるのです。
他にも学習したことに対してスタンプやシールなどで見える化して報酬を与えることや、あるいはよくできたねと褒めてあげることも単純なようにみえて最も効果のある報酬の一つになります。
できて当たり前という感覚を持たずに一つ一つ達成したことをほめてあげるようにしてください。

ちなみに報酬を与えるタイミングは60秒以内が良いと言われてています。
あまりに報酬が遅いと子供達が何に対してご褒美がもらえたのかということが理解できなくなるからです。

ちなみにモノやお金など外発的な動機は長期的な学習意欲に結びつかないと言われています。
学習をしたということに対して他人から褒められたりあるいは自分の夢や目標に近づいているといったような内発的な動機により学習を行うことが長期的な学習継続にとって重要と言われています。

③子供たちの自己効力感を育てる

自己効力感とは「自分にもできる」といったような自分自身を肯定的にとらえることができる感覚のことを言います。
発達障害のお子様達は学校生活の中でほかの子にはできることが自分にはできないといった体験をしてしまうことが多く、この自己効力感が低いお子様が多いと言われています。

子供が自己効力感を育む場所としては学習というのが最も大きな場所の一つになります。

まずは学習の中で自分にはこの問題を解くことができたという感覚を少しずつ養っていってあげることが健全な自己肯定感を育てるために必要になります。

例を挙げると学習障害のお子様ですと自分には字が書けないと言った劣等感を抱きがちですが、そのようなお子様にはパソコンのタイピングや音声入力による文章の作成などテクノロジーを用いた方法で合理的な解決を提示してあげることも時には重要です。

周囲の価値観やこれくらいできて当り前といった考えが当人達を苦しめていることが多いので、世間の常識や周囲に合わせるといった価値観の中に子供たちを縛り付けるということをやめることで子供たちは自身の活躍できる場所を、そして問題解決の手法を自分たちなりに発見することができるようになります。 

時には合理的な配慮を行ないながら子供たちの知的好奇心や自己効力感を育てましょう。
子供達は先生に怒られたり禁止されたりといった体験を重ねすぎると「こんなやり方をしてはいけないのか」「ほかの子にはできるのに自分にはできない」といった感覚を持ってしまい、自信をなくしてしまいます。
やり方の工夫一つで実際は定型発達のお子様以上の成績向上が見込めたりすることがあるにも関わらず、です。

最後に

重要なのは「こんなこと言っても構わないのかな」と子供たちが思わないように心理的安全性のある環境の中で子供たちがのびのびと学習ができるよう大人たちが見守ることです。

そしてとくに発達障害のお子様は従来のやり方ではうまく学習ができないという問題を抱えることが多いので、周囲が合理的な配慮を行ない、子供たちの学習に対するモチベーションを上げるための方法を考えていく必要があります。

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