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間違いだらけの海外留学!子どもの海外留学は早い方が良い!?

文部科学省 学習指導要領「生きる力」

http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/index.htm
目次

海外留学においての選択の幅

現在はコロナ禍で難しい状況にありますが、昔と比較して海外へ留学することへのハードルは随分と下がってきました。

以前ならば、留学と言えばアメリカ一辺倒なところがありましたが、今では同じ英語圏であるカナダやオーストラリアやニュージーランド、さらに非英語圏である(イギリス以外の)ヨーロッパ諸国、そしてアジア各地などへと選択の幅は大きく広がっています。
コロナ禍が今よりもっと収束すれば、再び多くの学生が世界各地への留学を再開できるのではないかと思われます。

ところで、本格的な海外留学は中学・高校在学中の早い時期に行ったほうがよいのでしょうか?
それとも、大学進学後に行ったほうがよいのでしょうか?
これについては様々な意見があると思います。

個人的な意見としては「お子様の性格と留学の目的によりますが、早い留学は慎重に」という無難な回答になってしまいます。
もちろん、数週間程度の短期のホームステイや研修であれば、時期にこだわる必要はほとんどないと思いますが、しかしこれが半年や1年といったそれなりに本格的な留学であれば、お子様の将来を見据えたうえで慎重かつ緻密な判断をしなければならないでしょう。
というのも、私は早い時期での海外留学が成功した例も失敗した例も両方を知っているからです。

つまり、高校生の頃に海外に留学して得たものを見事に大学進学や将来の職業に結びつけることができた例もあれば、逆に早すぎる海外留学で心身にダメージを負ってしまってその後の進路に苦労した例もあるということです。
ただ、それらから比較すると大学生になってからの海外留学はそこまで極端な成否の差はないようです。

そこで今回は特に高校生の時期の比較的早い海外留学について考えてみたいと思います。

明確な目標が重要なカギ

うまくいった場合

まず、早い時期の留学が上手くいった例です。

私が現役の高校生だった頃、学年にずば抜けて英語の得意な女の子がいました。そんな時、高校の交換留学の話が持ち上がり、ニュージーランドの高校との間で1年間の留学を行うことになりました。彼女は迷うことなく手を挙げたといいます。彼女には将来外交関係の職業あるいは通訳の仕事に就きたいという明確な目標があり、早い時期に英語をマスターできる機会が得られることは願ってもないチャンスでした。

しかし、この留学には一つだけ問題があり、単位互換の上限の問題で、帰国後はそのまま進級できないのです。
つまり、帰国後に1年後輩の生徒達と一緒に高校3年生をやり直し、最終的な卒業も1年遅れになってしまうのです。
にもかかわらず、彼女はその条件をあっさりと受け入れてニュージーランドへ旅立ちました。

最初こそホームシックで苦しんだようですが、次第に異国での生活に慣れて、無事に1年後に帰国しました。
英語での日常会話はマスターし、映画やテレビも字幕なしで普通に見ることができるようになったそうですから見事なものです。
彼女は1年遅れの高校生活を過ごした後、某難関国立大学の外国語学部に一発で合格しました。現在もその英語力を生かした職業で活躍していると聞いています。

このケースでは、本人に将来に対する明確なビジョンがあり、その目標を達成するための手段として早い時期での留学が功を奏しました。ただし、これは若干レアケースに近く、このような成功例ばかりを見て是非を判断するのはあまり良いこととは言えません。

うまくいかなかった場合

では、一方で早い時期の留学が残念ながら上手くいかなかった例もきちんと見てみましょう。

別の高校での話になりますが、やはり英語が好きな女の子がいました。
ただ彼女の場合はずば抜けて得意というわけでもなく、英語の成績は上の下くらいだったと思います。
そんな彼女がある日突然「カナダに留学したい」と言い出したものですから、周囲も家族も非常に驚きました。彼女の高校には交換留学の制度はありませんでしたから、どうやらインターネットで留学をあっせんする業者を探してきたらしいのです。
その行動力は立派なものですが、彼女の動機にはいささか疑問符が付きました。

というのも、彼女は将来英語関係の職に就くという目標は特になく、中学校のALTの先生との英語会話コミュニケーションの授業が楽しかったために、本場でそれを試してみたいという単純な動機でした。もちろん家族も猛反対しましたが、どうしても海外へ行きたいという熱意に負けて、半年間のカナダ留学へと旅立ちました。

しかしながら、現実は決して甘くはなく、留学期間のほとんどを重度のホームシックにかかったままで過ごすことになったのでした。
なんとか無事に帰国したものの、今度は日本の高校での生活にも馴染めずに結局自主退学してしまいました。

ただし、勉強そのものはできる子だったために通信制の高校に入りなおして、そこを卒業後に特に英語と関係のない私大の経済学部に入学することができたそうです。

このケースでは、本人に将来に対する明確なビジョンがなく、半ばノリと熱意だけで留学してしまったために、残念ながら成果が出ませんでした。もし彼女が留学を思いとどまって、普通に大学進学した後で海外留学していたら結果はもっと違ったものになっていたかもしれません。

最後に

海外留学は現地の人々や文化に触れて、視野を広げながら語学のスキルを習得できる貴重な機会です。

しかしながら、明確な目的や信念を持たないで海外へ出ることは、それなりのリスクや失敗も付きまとうことも知っておかなければなりません。

どうしてもお子様が早い時期に海外留学を希望するのであれば、いきなり本格的な留学に出すのではなく、まずは短期のホームステイで様子を見るのが現実的ではないでしょうか。

その上で、大学進学後に専攻や将来の職業に一定の目途がついてから改めて本格的な海外留学を考えるのが最も無難な方法だと思います。

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