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発達障害をお持ちのお子さんへの正しい指導方法と適切な関わり方について~その③~

ADHDやASD、LDなどの発達障害により、適切な指導や配慮が必要なお子様が多くいます。 発達障害という言葉は知っていてなんとなく理解はしている。でも、いざ本人の行動や言動を目の前にしたら、どう対応したらよいかわからない。本人が何を考えているのかわからない。そのように感じてられる保護者の方や教育関係者の方も多くおられるかと思います。

そのような方に、少しでも発達障害の子どもたちの特性を理解していただけるよう、ここでは、発達障害をお持ちのお子様に対する正しい指導法や、適切な関わり方について解説していきます。全5回に渡って紹介していきたいと思います。

今回は3回目です。

目次

有効な指導方法や適切な関わり方

今回も「この障害にはこのような対応」と限定することなく、発達障害をお持ちのお子さん全般的に見られる傾向を踏まえて、有効な指導方法や適切な関わり方について解説していきます。

学習の中に展開を持たせる

発達障害を持つお子さんは、得意分野に関しては驚異的な集中力や記憶力を見せるものの、苦手分野においては、集中が持続せず苦痛を感じがちです。そのため、50分などの学習時間においても、様々な展開を持たせ、飽きずに学習できる仕組みを作ることが大切です。
①指導者による解説 
②フラッシュカードを使っての言葉の暗記 
③映像資料による確認 
④グループでの本やタブレット等を使った調べ学習 
⑤まとめの発表 
等、学習の中に展開があると、一つのことに苦手なことがあっても、他の場面では気持ちを切り替えて取り組むことができたり、飽きずに学習時間を過ごすことができます。

指導者自身が、どのような指導法が有効か見つけ出すことを楽しむ

発達障害は脳の機能面においての凸凹のため、一人ひとり多様な様相を示し、個人によってどのようなアプローチが理解しやすいかわは変わってきます。

  • 「長文読解ではまったく理解できないけど、図式化されたチャートだとすっきり理解できる。」
  • 「図形認識は弱いけど、シンプルな計算は得意。」
  • 「内面には豊かなイメージを持っているけど、それを言葉にして伝えたり表現することは苦手。」

等、一人ひとりによってそれぞれに機能面の特徴があります。

それをいかに、周囲の大人が適切に捉え、適切なアプローチをしてあげられるかで、本人の将来が変わってくるとも言えます。 様々な学習の形を展開する中で、一人ひとりに適した学習スタイルをみつけてあげることが大切です。

評価や褒め言葉を明確にする

発達障害を持つお子さんは、状況を読み取ったり、相手の言葉から思いを汲み取ったりすることが苦手です。そのため、 「言葉にはしないけど、あなたのことを認めているよ。」「よくがんばったね!(と、表情のみで伝える)」 といった大人の姿勢は理解できず、自分は評価されていない、認められていない。と考えがちです。 どうしても注意を受ける場面が多くなりがちの発達障害のお子さんたちなので、明確な言葉で褒めてあげ、また、わかりやすく評価してあげることが大切です。 

  • 提出物チェック表や忘れ物チェック表を作り、シールやスタンプなどで評価をしてあげる。 
  • プラスな発言や行動と、マイナスな発言や行動を明確に本人に示し、プラスな発言や行動ができた時に褒めてあげる。
  • 優しい言葉がけや手伝い、気遣いなど、本人がしてくれたことに対して「その言葉は嬉しいよ。ありがとう。」 と伝え、褒めてあげる。
  • できないことより、本人の得意なことにたくさんの評価を与える。 

こういった配慮が必要になります。

スモールステップを大切にする

苦手なことが多く、他の子に比べて躓くことの多い発達障害のお子さんなので、本人が自信を失わないためにも、周囲の大人は、何事もスモールステップを心がけることが大切です。 保護者や指導者も完璧を求めず、課題を細分化し、細分化された中の一つの項目が○になったら、その点を評価してあげるようにしましょう。 

例)学校で忘れ物が多い 
①準備物のみを記入するメモ帳をポケットの中に持たせる。⇒記入できたら○ 
②記入し忘れたら、先生か友達に聞き、記入する。⇒記入できたら○ 
③家に帰ったら、メモ帳を指定の場所に置く。⇒置けたら○ 
④家族にチェックしてもらう。⇒見てもらえたら○ 
⑤明日の準備をする時間に、メモ帳を確認する。⇒確認できたら○ 
⑥準備物を揃え、まちがいないか家族にチェックしてもらう。⇒チェックしてもらえたら○
⑦忘れ物なく翌日を過ごすことができた。⇒忘れ物チェック表にシール。 

これくらいのスモールステップに分け、できたことに着目し、逐一褒めてあげることが大切です。 また、この取り組みをはじめた最初のうちは、はりきって○やシールのためにがんばるものの、日が経つと、また0に戻ってしまうパターンもあります。そのような時も、根気よく習慣づけ、時には×の日があっても良いから、継続することこそが大切であること。失敗してからも、また後で取り戻せばよいこと。等伝え、親や指導者自身も完璧主義に偏らないことが大切です。

本人の得意分野を伸ばしてあげる

親御さんとしては、苦手なことやできないことがたくさんある中で、特定の分野だけに興味を示すお子さんを見ていると心配になってしまうこともあるかもしれません。 しかし、本人が得意とする分野を評価し、そこに対したくさんの時間を与え、伸ばしてあげることがとても大切です。

国語の漢字学習が嫌いでまったく宿題をしようとしない。しかし、昆虫に対しての興味が強く、昆虫図鑑の中身を暗記するくらいの勢いで覚えている。そのようなお子さんもおられるでしょう。そうであるならば、図鑑の中で漢字を覚え、そこから興味の範囲が広がり、自然や地理に関しても学習の意欲が生まれるかもしれません。昆虫の絵を描くようになり、それがとても上手で、学校で褒められる経験をするかもしれません。
そのように、本人が興味を持つ分野を肯定してあげ、そこから発展していく力を信じることが大切です。

ここまで、主に学習面において心がけるべきポイントについて書いてきましたが、次回からは、発達障害を持つお子さんと関わる上で、こちらが理解しておいた方が良い点について解説していきます。
発達障害の方(お子さん大人に限らず)には、陥りやすい思考パターンや行動パターンがあるため、関わる人間がそこを理解しておく必要があります。 それらのパターンを一つずつ解説します。

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